<Header>
<Author: 孟浩然>
<Title: 陪張丞相自松滋江東泊渚宮>
<Format: 格式不明>
<Year: 1964>
<BookName: 唐詩選　上>
<Translator: 斎藤晌>
<style: 現代文無假名>
<style2: 日本現代譯文無假名標注>
<TranslatedTitle: 張丞相に陪して松滋江より東し渚宮に泊す>
<BookPage: 307>
<UsedPage: 1>
<Feature: 1, 4>
<End Header>
<Poem>
放溜下松滋，
登舟命檝師。
詎忘經濟日，
不憚沍寒時。
洗幘豈獨古，
濯纓良在茲。
政成人自理，
機息鳥無疑。
雲物凝孤嶼，
江山辨四維。
晚來風稍急，
冬至日行遲。
臘響驚雲夢，
漁歌激楚辭。
渚宮何處是，
川暝欲安之。
<End Poem>
<Translation>
流れのままに松滋江を下ることになり、われわれは乘りこんで、船頭に出發を命じた。張丞相は今は荊州長史の職にあるが、宰相時代の國をうれい民をねぎらう精神にすこしもかわりがない。民情視察のために、この凍てつくような寒さをものともせず出かけられるのだ。むかし鶴が頭成をくわえて水のほとりに落としたので、それを洗いきよめて鶴といっしょに飛んで行ったという楚の陸通の話も、あながち昔話といわれない。われわれも同じ心境である。それに、楚の屈原に對して、通りがかりの漁父が水が澄んでいたら纓(かんむりのひも)をあらえ、水がにごっていたら足を洗え、と勸告したというが、その會合の場所はまさしくここらあたりであっただろう。 張丞相の政治は行き届いたもので、人民が自然におさまるように段どりをつけられるだけで、干渉的なものではない。いたずらに術策を弄することもなく、鳥でさえ疑う心がなく舟に近づいてくるのも政治を象徴しているように見える。 雲のすがたは、はなれ島にじっと停滞して動かず、山も川も四方のすみずみまではっきり澄んで見える。夕方になって風は次第にきびしくなって塞い。冬至のことで、日あしがのろいような氣がするのは、どうしたものか。雲夢澤のあたりには狩獵のひびきがさわがしく、漁父たちの歌は、むかしの楚辭の激しい悲調を帶びているように聞こえる。渚宮というのは、どのへんになるのか。もう川面は薄暗くなってしまった。この舟は、いったいどこへ向かっているのだろうか。
<End Translation>
<Formatted Translation>
流れのままに松滋江を下ることになり、
われわれは乘りこんで、船頭に出發を命じた。
張丞相は今は荊州長史の職にあるが、宰相時代の國をうれい民をねぎらう精神にすこしもかわりがない。
民情視察のために、この凍てつくような寒さをものともせず出かけられるのだ。
むかし鶴が頭成をくわえて水のほとりに落としたので、それを洗いきよめて鶴といっしょに飛んで行ったという楚の陸通の話も、あながち昔話といわれない。
われわれも同じ心境である。それに、楚の屈原に對して、通りがかりの漁父が水が澄んでいたら纓(かんむりのひも)をあらえ、水がにごっていたら足を洗え、と勸告したというが、
その會合の場所はまさしくここらあたりであっただろう。 張丞相の政治は行き届いたもので、人民が自然におさまるように段どりをつけられるだけで、干渉的なものではない。
いたずらに術策を弄することもなく、鳥でさえ疑う心がなく舟に近づいてくるのも政治を象徴しているように見える。
雲のすがたは、はなれ島にじっと停滞して動かず、
山も川も四方のすみずみまではっきり澄んで見える。
夕方になって風は次第にきびしくなって塞い。
冬至のことで、日あしがのろいような氣がするのは、
どうしたものか。雲夢澤のあたりには狩獵のひびきがさわがしく、
漁父たちの歌は、むかしの楚辭の激しい悲調を帶びているように聞こえる。
渚宮というのは、どのへんになるのか。
もう川面は薄暗くなってしまった。この舟は、いったいどこへ向かっているのだろうか。
<End Formatted Translation>